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2015-10-21

社内の共有ファイルサーバーをGoogleドライブ(G Suite: 旧Google Apps)に移行しようとして失敗した話

近年、様々なクラウドサービスの出現により、社内システムは変革の時期を迎えています。

これまではセキュリティの観点から、機密データを扱うサーバは社外には出すべきではないとされていました。しかし、現在では多くのクラウドインフラストラクチャーで、オンプレミス環境に劣らないセキュリティが担保できることを証明する第三者機関認証を取得していることから、セキュリティの懸念も解消されつつあるといえます。

実際に、現在ではクラウドサービスを全く利用していない企業の方が少ないのではないでしょうか。

このような時代の流れもあり、これまで私は勤めている会社の経営陣に対し、様々なクラウドサービス導入の提案をし、社内システムの改善を図ってきました。その中でもchatworkの導入は、特に評価を受けたサービスの1つです。

しかしながら、1度提案をして利用を開始することになったものの、残念ながら実運用には至らなかったクラウドサービスも数多くあります。

その筆頭が、Googleドライブです。

今回は、なぜGoogleドライブが共有ファイルサーバーの代替になりえなかったか、それを説明します。Googleドライブ(G Suite Business: 旧Google Apps
with unlimited storage and Vault)の導入を考えている方は、参考になさってください。

Googleドライブが社員に浸透しない原因

まずは結論から記します。私が分析した結果、以下の理由でGoogleドライブは社員に受け入れられず、共有ファイルサーバーの代わりとして使用することができなかったと考えています。

  • Googleドライブそのものの構造が共有ファイルの仕組みとはかけ離れているため(理解を得られにくい)
  • ファイルを一度ダウンロードして使用しなければならないため
  • 共有ファイルにはない便利な機能があるが、多くの人がその利用方法を習得できなかったため
  • Googleドキュメント/スプレッドシート/スライドを宗教上の理由で利用したくない(Word/Excel/PowerPointを利用したい)人が1人でもいたため

これからその一つ一つに関して、説明をします。

Googleドライブそのものの構造が共有ファイルの仕組みとはかけ離れているため

まず初めに言っておきますが、Googleドライブと共有ファイル(SMB/CIFS)の仕組みは、180度異なるといっても過言ではないくらい、違います。まず、ここに対する理解が社員を苦しめます。

情報システム部門やエンジニアともなれば、それなりにシステムについては理解があるでしょうから、その違いにもすぐに馴染めるかと思います。しかし、例えば事務のおばさんやお偉いおじいさんといった、特に文系のシステム的思考が欠如していると思われる方々からは、数多の問い合わせと猛批判を食らう結果になることでしょう。

では、具体的にどこが共有ファイルの仕組みと異なるのかを説明します。

Googleドライブと共有ファイル(SMB/CIFS)の違い

一言でいうと、権限とファイル共有の仕組みが異なります。

Googleドライブも共有ファイルも、フォルダやファイルに「どのユーザに対して閲覧/書き込みを許可するか」といった権限が付与されることには変わりはないのですが、Googleドライブには、フォルダやファイルに対して「オーナー」権限というものがあります。

オーナー権限は、1フォルダ/ファイルに対して単一のユーザーにしか割り当てることができず、オーナー権限があればそのフォルダ/ファイルには全ての操作をすることができます。そして、オーナー権限がないとそのフォルダ/ファイルを完全に削除することができません。また、Googleドライブの使用量はオーナー権限のあるユーザーに割り当てられます。

つまり、オーナー権限を持つ人がそのフォルダ/ファイルの持ち主となるということです。それ以外の人は、たとえそのフォルダ/ファイルが操作できたとしても、削除はできないし、一見削除されたように見えてもただ共有が解除されて見えなくなっているというだけなのです。

このことから、Googleドライブは「共有されたフォルダ/ファイルの本当の存在場所」が各ユーザー上の個別のGoogleドライブにあり、共有フォルダは「共有されたフォルダ/ファイルの本当の存在場所」がサーバ上の1か所に集中してあるという考え方の差を受け入れる必要があります。Googleドライブは個人ごとに分散、共有フォルダは1か所に集中、ということです。

この仕組みは、個人主義ではなく組織主義である日本企業においては受け入れにくい仕組みであり、Googleドライブが頭の固い人たちには全く受け入れられない要因の一つとなっています。

ファイルを一度ダウンロードして使用しなければならないため

次にGoogleドライブが受け入れられない要因として、いちいちファイルをダウンロードしなければならない、というのがあります。

厳密にいえば、共有ファイルでも一度ダウンロードして利用しているわけですが、エクスプローラやFinderで参照する限りでは、そのままファイルを開けますから、ユーザーにはその認識はありません。

対してGoogleドライブの方は、一度ダウンロードし、ダウンロードフォルダにあるそのファイルを開く、という動作が発生します。これが面倒だ、というわけですね。

しかし実をいうと、Googleドライブのデスクトップアプリケーションを使用すればDropboxのようなローカルのフォルダとGoogleドライブの自動同期が可能です。しかし、結局それも前述と同じことで、社員全員にインストールさせ利用方法を浸透させるには、結構敷居が高いです。

社員は皆、なんだかんだ不便だ不便だ言いながら、本気で状況を打開する気はさらさらないので、結局共有フォルダで何ら問題ないのです。

共有ファイルにはない便利な機能があるが、多くの人がその利用方法を習得できなかったため

ここで、新たなメリットを掲げることで、社員にGoogleドライブに馴染んでもらおうと考えますが、それも結局同じことなのです。

Googleドライブには共有フォルダ(SMB/CIFS)とは違い、以下のようなメリットがあります。

  • 共同編集ができる
  • 版の管理ができる
  • Googleドキュメント/スプレッドシート/スライドを無制限に使用できる
  • URLで一般共有できる
  • 検索機能が優れている
  • 動画を保存すれば、組織内の人だけが見られるYouTubeができる

これだけのメリットがあるわけですが、エンジニアのような知識労働者ならともかく、一般社員に機能を一つ一つ説明して使いこなしてもらうなど不可能です。これは、自分で学習して活用してこそ意味があるものです。

Googleドキュメント/スプレッドシート/スライドを宗教上の理由で利用したくない(Word/Excel/PowerPointを利用したい)人が1人でもいたため

また、Googleドライブのメリットの中でもGoogleドキュメント/スプレッドシート/スライドはとても便利です。Googleドライブでドキュメント管理を運用していくのなら、これを使わない手はありません。

しかしながら、やはりここでもWord/Excel/PowerPointに対して超絶テクニックを持っている老害たちが妨害してくることでしょう。我々はWord/Excel/PowerPointで十分だ、と。そしてなぜかWordではなくExcelでA4書類を書いたり、誰かが共有Excelの上書きをしてしまってリグレッションしたりするわけですね。実に滑稽です。

使うツールに関しては、その場その場で適切なツールを使うべきだと思います。しかし、Word/Excel/PowerPointの信者は、合理性を無視し、いかなる場合においてもそれを使おうとしてきます。その熱意に勝てれば話は別ですが、大抵はGoogleドキュメント/スプレッドシート/スライドを諦める結果になることでしょう。

もちろん、Word/Excel/PowerPointの方がいい場面も多くあるということは付け加えておきます。

まとめ

いまやクラウドサービス導入の妨げは、セキュリティうんぬんではなく、古いやり方に固執し新しいやり方を受け入れられない老害の存在であることを痛感させられました。なので、既存システム→クラウドサービスへの移行は、どれも困難を極めるものばかりだと思います。

だいたいクラウドサービス阻止派の人たちはお年を召した方たちでしょうから、会社自体がそのクラウドサービスを推進していないと、その一部の老害の権力にやられ、導入を諦めざるを得ない状況に追いつめられるかと思います。

情報システム部門の皆様、是非負けずに頑張ってみてください。

なお、エンジニアの方々は、全社に導入しようなんて考えずに、自分たちだけでクラウドサービスを利用することを考えたほうが利口だと思います。老害がうざいことこの上ないですからね。

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