ITエンジニアがフリーランスになるためにやらなければならないこと
2016-01-08
自分の能力や技術力には自信があるけれども、経理や各種手続きなどに自信がなくて、やむなくフリーランスではなく会社員として仕事をしている人も多いと思います。
今回は、新しくITエンジニアがフリーランスになるために最低限やらなければならないことをまとめます。やるべき項目のみ挙げますが、すべての内容について一つ一つ詳しくは記載しませんので、特定の項目について詳しく知りたい方は他の専門サイトを見るなり該当の専門書籍を見るなりしましょう。事業に関わる重要なことですので、まずは書籍等できちんとした知識を身につけることをお勧めします。
この記事は、その書籍購入や経営に関する学習に至る足がかりのようなものにしていただければと思います。これからフリーランスになろうとしている方は、是非参考にしてみてください。
退職する会社から受け取る必要書類
これからフリーランスとしてやっていくにあたり、当然現在勤めている会社を退職しなければなりませんが、手続き上必要な書類は必ず受け取っておくようにしましょう。後から請求するのは、人によってはしにくいことかもしれませんので、忘れないようにしましょう。(開業するのであれば、できれば友好な関係のまま退職しといた方が有利ではあります。)
主には、以下の書類があれば大丈夫です。
- 源泉徴収票(きっちり年末いっぱいで退職し、年末調整を会社で行ってもらった場合は不要です)
- 健康保険被保険者資格喪失証明書と厚生年金資格喪失証明書(もしくは退職証明書)
- 年金手帳
国民健康保険に加入
退職後、会社の健康保険の資格は喪失します。フリーランス(自営業)の場合は、代わりに国民健康保険に加入するのが一般的です(会社の健康保険の継続も可能です)。
最寄りの市区町村役場(市役所/区役所、町村役場)で届出をしましょう。
原則として、退職後14日以内の届出が必要です。しかし、証明書の発行が遅れるなどのやむを得ない事情があれば、それ以降でも大丈夫だそうです(この辺は各役所ごとに厳しさが異なるようです……)。
届出には健康保険被保険者資格喪失証明書(なければ退職証明書)と、マイナンバーが必要です。
国民年金に加入
健康保険と同じく、退職後、厚生年金の資格は喪失します。厚生年金に加入していない人は、国民年金への加入が義務付けられています。
最寄りの市区町村役場(市役所/区役所、町村役場)で届出をしましょう。
原則として、退職後14日以内の届出が必要です。しかし、証明書の発行が遅れるなどのやむを得ない事情があれば、それ以降でも大丈夫だそうです(こちらも各役所ごとに厳しさが異なるようです……)。
届出には年金手帳(なければ身分証明書)と、厚生年金資格喪失証明書(なければ退職証明書)と、マイナンバーが必要です。
事業所の賃貸契約
自宅が賃貸住宅なのであれば、多くの場合、そのままその自宅を事業所(営業所)として、看板を立てて客を招いたりするなどの営業行為はできません。
事業活動のために自宅を利用するのであれば、事務所として利用できる契約で賃貸物件を借りる必要があります。通常は居住目的でのみの利用が許されているはず(賃貸の契約書に記載があります)なので、もし営業行為をその物件で行う予定なのであれば、物件の契約内容を変更してもらうか、新たに事務所を借りなければなりません(詳しくは物件の不動産屋さんへご確認ください)。
そんなときに便利なのが、バーチャルオフィスです。
バーチャルオフィスとは、簡単に言えば、住所だけを貸してくれる賃貸のことです。物理的な部屋は借りられませんが、開業届に記載できる住所と、その住所宛に届いた郵便物の自宅への転送などのサービスを行ってくれます。また、サービスやプランによっては都度有料で使える事務所(会議室)や、電話転送などのサービスもあります。
これであれば、大体月数千円程度で契約できるので、営業行為ができる事務所が必要な場合は積極的に利用するといいでしょう。
なお、バーチャルオフィスでは法人口座が作れなかったり、その他いろいろな場所で信用を獲得できない場合があるので、法人化を目指すちゃんとしたビジネスをするのであれば、ゆくゆくはきちんとした事務所を借りましょう。
開業届の提出
いよいよ、開業にまつわる各種届出についてです。
個人事業の開廃業等届出書
確定申告時に必要になる書類です。届出なくても事業は開始できますが、確定申告時には必要になるので、提出しておきましょう。
最寄りの税務署で届出をしましょう。
原則として、事業開始の日から1ヶ月以内の届出が必要です。ただ、遅れて提出しても何かしらペナルティ等があるわけではないようです。
所得税の青色申告承認申請書
こちらは任意です。前提条件として、前述の「個人事業の開廃業等届出書」の提出が必須です。提出することで、確定申告で「青色申告特別控除」という65万円もしくは10万円の所得税の特別控除が受けられる権利を得られます。実際に特別控除を得るには、複式簿記もしくは単式簿記(簡易簿記)で確定申告を行う必要があります。特別控除が得られない「白色申告」でも、単式簿記(簡易簿記)は必要なので、特別な理由がなければ提出しましょう。詳しい帳簿の話は、ここでは書ききれないので省略します。
最寄りの税務署で届出をしましょう。
原則として、事業開始の日から2ヶ月以内の届出が必要です。こちらは1日でも遅れてしまうと青色申告の承認を受けられませんので、注意が必要です。
個人事業開始申告書
こちらは、「個人事業の開廃業等届出書」とは別に提出する必要のある書類です。
最寄りの都道府県税事務所(都税事務所/府税事務所/県税事務所)で届出をしましょう。
提出期限は各自治体により異なるようです。
業務上必要な道具の購入
手続き以外にも、実務上必要となるものを揃えておきましょう。
- パソコン
- メールアドレス
- Webサイト
- 会計ソフト
- アンチウイルスソフト
- 金庫
- 名刺
など。
パソコンはエンジニアですから必須になるとして、メールアドレスやWebサイトは独自ドメインのものを用意しておくと信用度が高まりますし、お客様に覚えてもらいやすくなります。何より、24時間働いてくれる営業の窓口になりますから、これは今の時代できるだけ用意しておきたいものの一つです。
会計ソフトは、私はfreeeというクラウドサービスを使っています。フリーランスエンジニアとしての本業がある以上、会計に時間をたくさん使うわけにはいきませんから、多少費用がかかっても導入すべきでしょう。
アンチウイルスソフトは、自身のパソコンに顧客の機密情報を保存する以上、最低限の礼儀として有償の信頼できるものを導入しておきましょう。
金庫は、現金出納帳と金額の一致する現金や領収証の保管用に。名刺は営業時にお客様に覚えてもらうために用意しましょう。
クラウドソーシングサイトやエージェントへの登録
さて、一通り準備が終了したら、いよいよ営業活動の開始です。今の時代は、ネットを使えば様々な案件を獲得できるチャンスがたくさん転がっている時代です。
様々なクラウドソーシングなどの案件を紹介してくれるサイトに登録して、いろいろな案件の中から自分にあったものを見つけ、応募してみましょう。また、エージェントの力を借りるのも手です。既にコンテンツの揃ったWebサイトを持っている方であれば、それを中心に営業活動してみてもいいでしょう。
ここからの働き方は、あなた次第です。共に頑張りましょう!
まとめ
やらなければならないことや、身につけなければならない知識はたくさんありますが、個人事業主としての経験はその後また会社に勤めるようになったとしても必ず活きる経験になると信じています。人に使われる立場ではなく、人を使う立場に立つということは、やりがいも利益も責任も、ものすごく大きくなる可能性を秘めています。
これからの時代は、インターネットの普及により、大企業が所有するような大規模な資産よりも、より個人の能力が重要視される世の中になっていくと思っています。会社にいつまでも甘えているようでは、いつか痛い目を見る日が来るかもしれません。